「結んで開いて」ならぬ「開いて結んで」

 最近、質問主体の会話を心がけているが質問ばかりすると会話というより尋問になってしまい、(特に初対面の)相手との会話が盛り上がらない事が多くなっている。尋問になってしまった時相手の様子を見ると、不安そうにこちらとの距離をとりたがっているように見える。質問主体の会話を心がけた理由の一つは、初対面の人間とも距離を縮めやすくできるようにしたいからだったがこれでは逆効果になってしまう。

 この事をコーチングをやっている知人に話したら質問の仕方について一つアドバイスをもらった。その知人がいうには質問には『閉じた質問』と『開いた質問』があるという。(正確な呼び方は違う上に、ほかの種類の質問もあったかと思うが忘れた。)

 この二つの質問の特徴は、『閉じた質問』は相手の答えを「はい」か「いいえ」に限定してしまいそれ故に会話が広がり難く、一方で『開いた質問』は相手の答えを限定せず会話が広がりやすいという。

 早速仕事で試してみたが、これが思った以上に会話を弾ませる効果があり、普段あまり会話しないお客さん先の受付の方とも話が弾んだ。

 例を一つ出してみよう。先日、お客さんの一人にお孫さんの学校の音楽会を見に行くと話してくれた方がいたので、他の子供の祖父母も来ているか聞いてみた。今までの自分だったら「他の子のおじいちゃん、おばあちゃんも来ているんですか?」と聞いていたと思う。(これは『閉じた質問』である。「来ている」か「来ていないか」。つまり「はい」か「いいえ」でしか答えられない。)しかしこの時はそうは聞かなかった。「他の子のおじいちゃん、おばあちゃんはどのくらい来ているんですか?」と聞いてみた。すると相手の方は「結構来てるよ。最近の音楽会は・・・。」とこちらが聞いていない音楽会の様子も話してくれた。

 その他にもこの同じ日に『開いた質問』を何度かしてみたが、それができた時は例外なく相手の方はこちらがした質問以上の答えを返してくれた。『開いた質問』ができず、『閉じた質問』をしてしまった時の相手の反応とは歴然の差がある。

 「コミュニケーションは童謡とは違い結んでから開くのではなく、開いてから結ぶものなんだなぁ」と感じたし、質問の仕方一つでコミュニケーションの質が大分変わるのに驚いた。

 言葉は大切にしていきたい。